2016年5月9日月曜日

安野光雅「(絵本)おおきなもののすきなおうさま あとがき」より

「ガスタンクを見て、あんな大きいコーヒーカップがあったらどうだろうと、ふと思った。高いはしごでよじ登り、底にすこしたまっているコーヒーを、はいつくばってなめる自分を思いうかべて、目がくらむ思いがした。
 
電柱ほどもある鉛筆、山ほど高いすべり台、体がすっぽり入ってしまいそうなくつ、と数えあげれば、きりがないほど楽しい。
 
では、かさのように大きなチューリップができるだろうか。エジプトの王は、ピラミッドという巨大な墓をつくらせたが、大きな花を咲かせることだけはできなかった。


 
生命を人間がつくることはできない。花一つ、虫一つがかけがえのないものであることを思わねばならぬ。」


(安野光雅おおきなもののすきなおうさまあとがき より抜粋)

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